RX100ワークショップその後(写真添削あり
こんにちは。
先日開催いたしましたRX100ワークショップへご参加いただいた方に、「ブログのネタにしても良いなら写真送ってね! 添削するよ」ってお知らせしておいたところ、実際に写真を送っていただきました。ありがとうございます。
写真を送っていただいたのは、ハチワレデザインの鈴木さん。そういえばうちの近所にもハチワレの野良猫が出没します。
鈴木さんにはワークショップ当日も活発にご質問をいただきました。多岐にわたっていたのでここですべて質問内容をご紹介というのは難しいんですが、そういうのは作例を見ていただいた方が早いですね。
質問内容で特に多かった+仕事で写真を撮ろうとするとモロにぶつかる問題が、カメラ位置!
鈴木さんが送ってくれた写真を、今日はちょっと時間があるのでちょちょっと手直ししてみました。本当は生徒さんの写真であっても勝手に手を加えるというのはあんまり気持ちの良いものではないんですが、プロ同士ということでこういう形もOKかなと勝手に判断してやっております。
本当はほら、人の写真を勝手にトリミングしたり改変したりっていうのは、「お前の写真じゃ不足だから俺が手直ししてやるんだよ」って意味なので失礼なんです。わたしもデザイナーが仕事として「こういう形で枠が決まっているので、ごめんな! 切るよ!」ってやる以外のトリミング、嫌なんですよ。
というわけで鈴木さんには申し訳ないんですが、今回は非常に分かりやすい結果になっているのでご勘弁ください。
作例1
左が鈴木さんの撮影。右が手直ししたもの。
右の方がすっきりして見えるでしょ。これ写真の角度を変えました。撮影段階だと右が下がっているんです。よく見ると木のテーブル、右が下がっているでしょ。天井の照明かなにかも右が下がっています。それを基準に水平を取り直すだけで、やたらとすっきりします。
カメラの高さについては、料理が見えて奥の様子も見えるのでもともとバッチリです。
作例2
作例その2は、特に手直ししとりません。○だけ付けさせてもらいました。
この……なにこれ? ペンネでしたっけ? ざっくりいえばこのパスタ、ピント位置だけマークをつけておきましたが、ピント位置選びは正解です。これが目立っちゃうので、ここにピント合わせで OKです。
ただ、ピントを合わせた部分が画面上のおいしい位置に来ているか? ピント位置、ペンネ全体、皿との調和はベストの状態か? っていう風に考えると、ちょっとバランスが悪いかな。
私だったらもうちょっと左側に回り込むか皿を反時計回りに回すかして撮りますな。あと、ワークショップの際にもお話しましたけど、「お皿を切って写すと料理写真がかっこ良く見える」ってよく言うんですが、そこを目的にしちゃダメなんです。皿が切れるのは飽くまで結果であって、このパスタかペンネか知らんですが、これが美味しく見えることが目的ですからね。
作例3と4
作例3と4、まとめて行きます。こちらは四角いものを四角く撮るっていうお題ですね。
まず初心者ほど手持ちでやろうとするんですが、三脚を使った方が絶対に正確だし、結果として早いです。
ワークショップの時にも具体的なやり方をお教えしましたよね? 基本に忠実に行きましょう。通常のレッスンだと中級でやる内容です。
まず作例3。左が撮った状態、右が手直しした状態↓。
どちらがすっきりかは見たまんまですよね。カメラ位置が撮影した面に対して左上に偏っているんです。レンズって近いものがでかく写るので、左上の角が近い感じに写っているでしょ。もうちょびっと右下から撮りましょう。
↑作例4は、カメラが右下に寄ったかな?
しかもこれ、レンズの歪みも出ているので、そっちも気にした方が良いでしょう。歪曲収差というやつですね。
さらに、作例3と4を見比べてみると、たぶん同じ壁を使って撮ったと思うんですが、ホワイトバランスが違っていますよね。壁の色が違っています。これはホワイトバランスで調整ですな。照明の色が偏って見えている→被写体の色も同様に偏って写っているということですから、複写としての正確さを追及するなら、そこまで気にした方が良いでしょう。
ざっと総括
今回送っていただいた写真のようなシチュエーションで撮る場合、気にするべきところを並べてみましょう。
- カメラ位置
- 露出
- ホワイトバランス
ほかにも細かい点で注意すべきところは山のようにあるんですが、特に大事なのはその辺りですね。写真は細かいことの積み重ねがモロに結果に出るので、「至誠にもとる、なかりしか」的な感覚でちまちま詰めていくと確実に結果が良くなります。
そういう細かい積み重ねが大事……ではあるんですが、写真って被写体と表現の方向性によって、けっこうアプローチが違うのも確かなんです。
まず食い物系の写真の場合は「きっちり撮れている」ということよりもおいしそうに見えるかどうか? が争点になりますよね。
逆に、絵を正確に写真に写すのは複写といって、いかに正確に写し取っているか? が最初に求められます。白が白いか? 黒が黒いか? 直線が直線か? っていうのが正確さですな。(余談なんですが、こういう複写ものって、えらく簡単に撮れそうに見えるんですが、実はゴリゴリにカメラ知識&コントロール技術の塊なんですよ。)
それぞれの違いを、実際に撮る時に認識しながらあれこれ決定していくと、上手く行くんじゃないかなぁというのが私の意見であります。つまり目的を明確化して、それに向かってディテールを積み上げていくと、世の中の大体のことと同様、写真も上手く行きやすいんであります。
とまあ、駆け足になってしまいましたが、こんな感じでいかがでしょうか? カメラ位置を決めるのって、下手をするとプロのカメラマンでもきちんと論理に則って出来ない人がいるくらいなので、今ちょっとできないからといってめげることはありません。
正確なカメラ位置を学ぶには、三脚を買って建物の外観とか内観を撮るのが一番効果的ですが、RX100でそこまでやる必要があるんだろうか……という気もするんですよね。まあ何はともあれ、楽しく行きましょう!