構図:地面と空の比率

風景を撮っていると、地面と空の比率や海と空の比率で悩む事があります。

そういう時、デジタルカメラだと簡単にバリエーションを撮る事ができるので、後で選ぶ事ができますよね。
デジタルカメラはフィルムカメラよりも写真の上達が早いと言われているのは、その辺りの事でしょう。自分で試してみて、それを次の撮影にフィードバックするまでのスパンが短いですし、また低いコストで繰り返す事が出来ます。

というわけで、今日は一例だけなんですがシルエットの町並みと夕暮れどきの空を撮った時の比率を見てもらいましょう。

 

まずは真面目に3分割

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普通の風景写真といいますか、町並みにも光があたっていて空に雲だの青空だので模様が出来ている時は、これくらいの比率で撮る事が多いんではないでしょうか。

私がいつも考えるのは、「写っているものが写っている比率に応じて重要であれば、その構図は落ち着く構図になる」という事。これが基本の基本になっています。

どういう事かというと、そこに写っているものに、画面を占める面積分の意味が付与されているかどうか? ですね。簡単にいえば大事なものは大きく写っていれば勝手に重要に見えるし、大事でないものは小さく写っていても問題ない。その逆だと気持ちが悪いという事です。ものすごく平たく言えば、「でかく写っているものの方に目が行くから、大事なものはでかく写せばいいじゃん」という事です。もちろんこれ、基本の基本なので、例外もありますよ。ただ基本って何でも、意外なくらい有効な場合が多いんです。

例えば人物の顔を撮る際に日の丸構図って避けるでしょ。ダメって必ず言われます。なぜかって冷静に考えてみると、理由の1つとして頭の上に必要以上に余白があると、写真を見た人は「このスペースに何か意味があるのかしら?」って考えちゃうからなんですよ。つまり頭の上にけっこうな面積の余白があるって事は、この余白には何かの意味があるに違いない→実際は意味が無い→落ち着かないなぁ、っていう感じです。

さて、上の写真は生真面目に3分割構図を意識して撮っています。しかしシルエットになった民家にそこまで深い意味を持たせるほどかっこいい形で写っているわけでもありませんし、これじゃただの陰のかたまりですよね。

写真の構図として、向こうの夕暮れ空の模様がかっこいいのであちらを優先にしたい、だから面積を広くしています。3分割構図の3分の2は空で決まり。そこまではOK。じゃあ次に、手前の陰の塊である民家には、どれくらいの面積=意味を与えれば落ち着くのか? と、こう考えるんです。3分割構図も飽くまで目安であって、必ず3分割にしなきゃいけないわけじゃないといいますか、むしろかっちり3分割にすると大体何か大事なものが写っていない感じになりますからね。

 

じゃあいっぺん狭くしてみたらどうか?

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空を! 空を撮りたい! って気持ちをぐいぐい出すとこういう構図になりますが、これはこれで中途半端に建物が写っているのに、なんだか切れている部分があったりして物足りない感じですね。どうもカメラを上に向けすぎたようです。

民家いらなーい、という気持ちは分かるんですが、民家と対比して見せる事で「あー空はこんなに大きいんだな」と感じさせる効果も期待できますから、この場合は民家がある程度写っていた方が良さそうです。

というわけで最終的にはこんな形に落ち着きました。

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3枚の中で一番落ち着きませんか? だんだん暗くなってきた深い青空に、かっこいい模様の雲に、沈みゆく太陽が染める、地平線近くの赤い空。そして逆光に暗く沈む民家民家と。もうちょびっとだけ民家を大きく写しても良かったかもしれませんけど、まぁこんなもんでしょう。

最終的な微調整は人により、被写体により、あとカメラを置ける位置によって変わりますが、今日ここで書いた基本ルールを念頭に置いておくとそれぞれの被写体の写真の中での重要度に応じて比率が決めやすくなると思います。

3分割構図も、なにも本当に画面を3分割しろっていう話ではなくって、そうすると考えやすくなりますよ、構図を詰める時のスタートとして始め易いですよ、というだけのものですからね。また3分割構図からスタートしても着地するところがそれぞれ違うからこそ構図のセンスというのは試されますし、面白いところだなと思う次第です。

 

というわけで皆さんのRX100ライフのますますの充実を願って本稿は終わりにしたいと思います。

 

 

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