おはようございます。急に寒くなって参りました!
最高気温がだいたい20度前後で推移していますが、なんだかもっと寒く感じます。まだ体がついてきていないんでしょうね。
さて、今日は万能かに思われるPhotoshopでの修正も別に万能ってこたあないぜという話題。
そもそも修正がアリなのか
写真を撮っていると、後ろに人が写り込んでいるなー邪魔くさいなーと思うことがよくあります。
特に手前に人物を置いて撮影していると、手前も人物、奥も人物で種類が被っているので、余計に目立っちゃうんですね。これが手前に猫、奥に人物だったらもうちょっと気にならない筈なので、純粋な見た目として邪魔、邪魔でないの問題に加えてそういった種別による認識の問題も絡んでいるようです。
後ろに写ってしまった人物を消すことの是非についてはちょっとややこしい問題がありまして、最終的には良識の問題です。
これはドキュメンタリーですよーということになっている分野において消しちゃうのはNGということになっておりまして、最右翼は報道分野ですね。報道で修正したらカメラマン生命が絶たれるくらいの不祥事ですが、日本は案外ゆるいんですね、そのあたり。
報道から離れても、それがドキュメンタリー性の多寡によって評価が分かれる写真ジャンルであるということになっていると、修正は良い顔をされません。
Twitterで固まっている写真好きの人たちの中には、ストリートで撮っているんだけどこれはドキュメンタリーではなくファインアートだから修正OK、という人もおり、そういった場合は事前にドキュメンタリー性が低いことをきちんと表示、標榜していれば良しと思います。
最近ではスティーブ・マッカリーさんというナショジオなんかで有名な方が、他の人はドキュメンタリーだから無修正だと思っていたら、ご本人は「ドキュメンタリーとはちょっと違うんだわ」というのでちょいちょい修整をしており、問題になったことがありました。
その例からも、ドキュメンタリーじゃないよ、と標榜していればOKというようなラインが薄っすらと見ることができます。
ただ言えるのは、たとえばストリートスナップはドキュメンタリー性が高いと思われるからこそ、珍しい瞬間を撮った時に称賛される前提があることは紛れもない事実でありまして、それを忘れて都合の良い手段に頼っていると、ストリートスナップ自体が「えっだってドキュメンタリーじゃないんでしょ? このかっこいいシルエットの人、いくらで雇ったの?」みたいに価値が低下してしまいます。
さらにプリントを売って美術市場と絡めていたりすると、俺が買った時にはドキュメンタリーで凄い瞬間を神がかり的なタイミングで撮ったと思ったから買ったのに、その後で修整しているってばらしちゃったら資産価値が減ったじゃないか! ということにもなりかねないわけで、けっこうめんどくさいことになりそうです。
まあ正直が一番ということですね。
私が修正OKと思うジャンル
修整、をどこから含めるのかもまためんどくさい話になってしまうのですが「あったものを消す」のが修整としてはいちばん分かりやすいですよね。修正と書いたり修整と書いたりいたしますが、要は使う側に都合の良い形に現実を捻じ曲げるわけです。
もちろん撮影に精通していくと、撮る時点で捻じ曲げてしまっている部分はずるくないのか、という問題にもなるんですけどね……そのあたりは「撮る時点で捻じ曲げるのは撮影技術なのでOK、ずるくないよ」というのが、写真の世界で少なくとも最近まで通用していた感覚と思います。
で、修整してOKと私が思うジャンルは、ドキュメンタリー性が重要と思われないジャンルすべてです。
写真そのものが、見る側の見識によって、どれくらい「あったものが写っている」と思っているかが変化してしまうわけですが、たとえば広告で使われている写真に修整が施されていないと思う人はあんまりいないと思うんですね。「まあやってるだろうな」と思われるんじゃないでしょうか。
だからこそ、化粧品の広告に修整を施すのは明らかに優良誤認を期待してのことであって、「こうなります」という姿を見せているはずなのにデジタルの力でより結果を良くしちゃっていますよね。あれ嘘以外の何物でもありません。
しかしそれを公的機関に告発するような人はまずいない……ということは、修整されていないとは思っていない、修整されているものだと考えるのが常識、ということになっているんだと思います。
これは報道と真逆で、報道は修整しているわけがないと思っていますよね。
何はともあれやってみよう
はい。先日のメリケンサックさと先生撮影の折に撮ったもの。後ろの老夫婦がいつまでも動いてくれないので、「もうしゃあないな」とそのまま撮りました。
この写真を修整して良いかどうかで考えると、別にドキュメンタリーではないのでOKですね。
さっそくPhotoshopを立ち上げて、消したい対象を範囲選択します。
なげなわツール
なげなわツールというのがありまして、これはマウスでぐるっと囲った部分を範囲選択してくれるツールです。
Photoshopはいかに自分が狙ったところを範囲選択するか(範囲を選択しないと、Photoshopさんはどこにエフェクトをかけて良いか分からないから)が勝負でありまして、その中でも一番身近というか、スッと扱いやすい範囲選択ツールと思います。それで「ここを消して」と囲みました。
次に、「ここを」どうする」の「どうする」部分です。
範囲選択をしたまま、その場所を右クリックすると、範囲選択した部分をどうする、という動作の一例が出てきます。その中に、「塗りつぶし」というのがありまして、もともとは一色でベタッと塗りつぶすためのものだったのですが、ここに「コンテンツに応じる」というオプションがいつの間にか追加されました。
このコンテンツに応じた塗りつぶしを行うと、Photoshopが勝手に判断して、周りと馴染むように指定範囲内のものを消してくれます。とりあえずチャレンジはしてくれます。
消え……た!?
これ、背景がシンプルな模様の時はかなりの精度でやってくれるようになってきているのですが、まだちょっと至らない感じですよね。背景が不自然。そりゃ3つのパターンを継ぐわけですから、簡単にはいかないですよね。
全体で見てみるとこんな感じ。まあ縮小しちゃえば見えないのでOKといえばOKですね。
ただ、どうせやるならもうちょっときれいにしたいなあ、というので、今回はお肌の修整なんかでよく使う「修復ブラシ」でちょちょっと直してみました。
てな感じで完成! 修整したという事実を知らないで写真を見れば別になんということはない感じに仕上がっていると思います。こうして人はまたひとつ嘘を覚えて行くんですねえ……
Photoshopに関する質問も募集していますので、知りたいことがありましたらDiscordでもこのコメント欄でも、お好きな方にお願いいたします。
それではまた!