AF動作方式の話
何日か前、電車に乗っている際に「なに撮ったっけな」とチェックしたRX100を膝の上に載せているのを忘れてそのまま立ち上がったところ、ガッ、ゴロゴロゴロくらいの音を立てて落ちて転がったRX100でありますが、いま現在もまったく問題なく作動しております。
そこで思ったんです。RX100ブログの次の話題はAFの作動方式の話にするべきだってね。
AF=オートのフォーカス
一眼レフの場合はAFの作動方式が位相差分式といいまして、AF用のセンサーと撮像用のセンサーが別でついておりまして、これがカメラボディに衝撃を与えるとずれちゃったりする事があります。
どういう事かというと、AFセンサーは「ピント合いましたよー」って言うんですが、実際は合っていない、向こう側かこっち側にピントがずれた写真が撮れちゃうってな塩梅です。これが非常に困るんですね。
ですので、最近の一眼レフにはその「ちょっと向こう」「もうちょっと手前にピントお願い」っていうのをカメラのOS側から微調整する機能というのがついておりますが、慣れないとレンズのせいでピントが合わないのかカメラのボディのせいなのか、はたまた光源のせいなのかズーム域のせいなのか、ぜんぜんわからなくなったりします。
ちょっと愚痴
これね、愚痴なんですが、わたし遊び用にSony製のRX100、その前のNEX-5を買うまでは公私に渡ってキヤノン製の一眼レフばかり使い続けてきたんでありますが、キヤノンのサービスセンターにボディーのピント調整に出すと、ほぼ確実にずれたまま帰ってくるんですよ。レンズのピント調整をお願いした際はまず間違いなくピントを合わせてくれるんですが、ボディーの方はなぜかほぼ毎回ダメなんです。初代EOS 5Dのピント調整をお願いして一度だけ成功していた事がありました。それ以外は全滅です。
一度なんてファインダーのスクリーンがしっかりはまっていない状態で返ってきて、ファインダー像ではピントがずれているのに撮ると合っているっていう逆の現象を引き起こされた事もありましたねぇ。さすがに受付の人じゃ話にならなかったので技術部の人に電話を代わってもらって理詰めで話をしたらスッと分かってもらえましたけどね。
で、もう最近は慣れたのでサービスセンターで受け取ってすぐにそのままバリバリっと緩衝材を外してカメラを取り出し、チェックして、「これ、まだ直ってないんでもう一回お願いします」って預け直すところまでが一連の動作という、様式美の世界みたいになっています。
もう1回預けて帰ってくると、ちゃんとピントが合うようになってるのね不思議! これはどのボディーを出しても同じです。お直し一発で必ず直ってきます。私の方では再調整の依頼の際に「あとこれくらい後ピンに」とか一切言わないんですよ。「もう一回お願い」って出すと、ピタッと直って来るんです。初回ちゃんと調整してる? 何もしないでそのまま返してない? って疑問を持たざるを得ないくらい定型的なんですよ。
しかも千葉の幕張と新宿と2箇所のサービスセンターにカメラを出した事がありますが、どちらも同じように頼りないのね……。修理、調整を実際にするのはどのみち千葉のセンターであって新宿は窓口でしかないそうですが、そんなのユーザーには関係ありませんからね。
仕事のローテーションで上手い事そのボディを使わずに済む期間があるからって事で、次にそのボディーを使う仕事に間に合うような日程でボディーを調整に出して、わざわざ受け取りに行ったらピントが合っていないから再調整。受付の人がその場で撮った写真をボディー背面の液晶で見て「あ、本当だ合ってませんね」って言うレベルなんですよ。
それなのに代替ボディは出せないとかね。文句があるなら有料のプロサービスにご加入ください、だそうです。
そりゃキヤノンってメーカーに対する愛着もなくなるってもんです。
RX100やばい
ところがですね、コンデジであるRX100にはそんな死角はありません。
なんでかというと、RX100に限らずなのですがコンデジって一眼レフのようにAF用のセンサーが別体になっている位相差分式ではなく、撮像用のセンサーをそのままAFにも使うコントラストAFっていう方式を使うんです。
なので、衝撃を与えたところでピントが合わなくなるって事がありません。
むしろピントが合わなくなったら、もうそのカメラはダメです。重修理に出して新品くらいの値段を払うか、違うカメラを買った方が安いくらいの壊れ方になっている筈です。
まぁ衝撃を与えたせいでレンズの方がダメになる可能性もあるので一概にはいえないのですが、AFに関してはそうですからね、一眼レフと違ってそこまで衝撃に神経を使う必要がないというのは気楽なんじゃないでしょうか。
あと一応キヤノンの名誉の為に書いておくと、キヤノンのカメラであってもコンデジならコントラストAFを採用していますから、衝撃には強いですよ! ただ私がキヤノン製品は一眼レフしか使っていないというだけです。逆にいえばソニー製の一眼レフだって、位相差分式のAFを採用しているモデルはデリケートな筈ですからね。調整に出してちゃんと一発で直るかどうかは分かりませんし、それはそれで別の問題なのでアレなんですけども。
AF方式の違いがもたらすもの
位相差分式のピント合わせはコンデジしか使ったことがない人が感動するくらい速いです。そういうアドバンテージ/ディスアドバンテージが位相差分式AFとコントラストAFの間には存在するんですな。
- 位相差分式AF=速いんだけど不正確になりやすい(デリケートで定期的にメンテしないとピントがずれてしまう)
- コントラストAF=遅いんだけど頑丈(そうそうずれない。ずれたらカメラのコンピューター部分がぶっ壊れてます)
コンデジやミラーレス一眼が動体、つまり動くものの撮影に不利だっていうのは、このAFの作動方式の違いによるものです。
そういう違いを認識してAFが速い方が良いかな、いや遅くても大丈夫だなとか、ボケ量が大きい方が良いからセンサーの大きなカメラを持って行こう、いやとにかく軽いのが優先、みたいにしてカメラを持ち帰る事ができると非常に楽になります。
そしてRX100はかなりの幅で「ああ、そういう期待にも応えるっスよ」みたいに請け負える幅が広いので素晴らしいです。AFも速くはないですが、「クソッこの野郎!」っていうほど遅いなんて事はありませんからね。暗いところでも問題なく合いますし。
むしろ最近のコントラストAFはずいぶん速くなりましたよ……。そういえばポラロイドは超音波式のAFを採用していた例がありましたな。シャッターボタンを半押しすると「ミッ」って聞こえるか聞こえないかくらいの音が出るんです。コウモリみたいですよね。高周波って若い時ほど聞こえるらしいので、もう私の耳には聞こえないかもしれません。
というわけで、今日はひたすら豆知識の列挙みたいになってしまいましたが、ピント合わせも大事な要素ですからね。
あ、ちなみにわたくし、どのカメラでもAFは中央1点しか使いません。動体相手に流し撮りする時でもコンデジでも一眼レフでも中央一点です。
はじめまして、
すごく洒落たブログですね。
今更ですがRX100(初代)を使い始めた者です。
最後のAFの話、大変参考になりました。
マルチにすると合わせたくない所に合うし、
移動(フレキシブルスポット)にすると、
スポットを目的の場所まで持ってくのにエラい時間喰うし。
今まで中央AFでピンを合わせてからカメラを狙いの構図までずらして撮っていたのですが、
(コンデジしか持ったことないです、前のカメラはCannonのG11)
RX100のマクロでそれをやると被写界深度が浅いために
折角合わせたピンが微妙にずれてしまうことがあります。
この辺り、どのような解決法がありますでしょうか?
宜しければご教授願います。
>greenfiddlerさん
コメントありがとうございます!
そう、カメラ任せで測距点を選択してもらっても、大して良い事がないんですよね。たまに試すんですが、慣れてしまった中央一点が一番楽なのですぐに戻してしまいます。
さて、中央でAFを合わせてから狙いの構図までずらす、いわゆる置きピンをされているという事ですが、ピントは距離で合わせるもので、半押しした後で距離を変えないように構図を整えてやらなくてはなりません。
逆にいえば距離さえ変わらなければ良い! という事ですね。
もしも距離が変わってしまうようでしたら、フレキシブルスポットで狙いのところまで測距点を動かして、フォーカスモードをAF-CにしてRX100に追尾してもらいながら撮るしかありません。
健闘を祈ります!
丁寧なお返事ありがとうございます。参考にさせていただいております。
最近はマクロの距離では、ちょっと絞ってピンがシビアにならないようにして、中央でAFしてから狙いの構図までRX100ををずらしてます。一眼のマニュアルAFってそう考えるとすごく便利なんですね。構図を決めてから自分がピント合わせたい任意の場所にフォーカスできるなんて。合わせきれるかは別問題ですけど。
RX100のリングは…MFのピントリングとしてはちょっと辛そうですね。めっちゃグリグリ回している間に昆虫とかには逃げられてばかり(笑)
>greenfiddlerさん
これ不思議なもんでして、人によって中望遠で開放F1.2とかのレンズでも、置きピンでピントがずれない人もいるんですよね。逆にコンティニュアスAFでもずれてしまう人は存在します。
たぶんマクロ領域で撮り慣れている人だと、自分の体の(カメラの)前後移動だけでピントがずれてしまうのが身にしみて分かっているから置きピンでもピントがずれにくいのではないかなと推察するんであります。
greenfiddlerさんもきっと、何度も虫に逃げられているうちにピントがずれない体の動かし方を覚えられるのではないかと思います。