こんにちは。暑いですね。休みつつ冷やしつつ受け流していきましょう。それ以外にありません。梅雨が戻ってくる可能性もあると聞いて、水不足のことを考えると是非とも戻ってきて思う存分じとじとしてほしいなと思う今日このごろです。今からすでに農家の皆さんの悲鳴が聞こえてきています。
さて
昨日からようやく取材時の写真を現像しています。勉強になることばっかし!
機材はほぼすべてのショットをNikon Z7とZ24-70mm F2.8 Sで撮りまして、しかもほぼぜんぶ自然光というか環境光のみで撮影しておりました。
クリップオンを使うと、普通~に明るいホットペッパーみたいな取材写真になっちゃうからなあ……とリアリズム追求を念頭に環境光のみでどんどん撮っていたのですが、その判断が間違っていたわけではないものの、クリップオンを積極的に導入する理由が別にもあったなあ、と気づきました。
現場のコントラスト
写真を撮っている際は、どうしても話を伺う方に集中しがちで、しかも基本的に宇和島という土地であるとか、そこへ人を連れて来たいなあ、最低でもその方のされている商売に協力出来たらなあ、というふうなマインドでいるもんですから、気持ちがどうしても観光誘致、パンフレット写真的な方向に引っ張られてしまうんですね。いわゆる日本でよく見る普通~の紹介写真に寄せて撮ってしまいます。
そうすると、写真としてはきれいで、撮られた当事者は喜ぶかもしれないんですが、日本国内でしか通用せず、かつ他の写真に紛れやすいのでちょっとなあ、という感じ。基本的に日本と東アジアの一部でしか、さらさらのローコントラスト写真って受け入れられないんですよね。それ以外の国はあれこれ細かい違いはあれど、黒から白まできっちり使い切る写真が好まれる傾向が強いです。目にガーンと飛び込んでくる強い写真になりますしね。
この3枚、1枚めが撮影したまま、2枚めが日本で一般的に好まれやすい現像、3枚めがわざとらしく「作品っぽい」感じ。
撮影段階でかなりコントラストが強いので2枚めは現像時にシャドーを持ち上げてコントラストを下げまくっているわけですが、たとえば同じ環境でクリップオンストロボを天井バウンスしたとしてもコントラストは下がります。ネイリストさんの目の前にあるライトと、それ以外の部分の明るさが近くなるわけですからね。
それに対して、一番インパクトがあるのは、インパクトだけでいえば3枚目ですよね。これ、要はコントラストが一番高い状態なんです。
クリッポンでコントラストを作る
取材現場にストロボを持ち込む理由って、私の頭の中でどうしてもコントラストを下げて、日本国内で見やすい写真にするため、というイメージがどうしてもぬぐえず、まあ今回は撮影対象が日本人かつ撮った写真を提供しまっせ、という形でやっているので日本国内で使いやすい写真を撮る必要があるのは確かですが、欧米諸国の皆さんに写真を見せることを考えるとよりはっきりくっきりした写真を撮るべきで、そうなるとコントラストは現場の光をそのまま利用しても良いし、それにプラスして現場で作っちゃうのもアリだな、と思いました。
たとえばこの写真、取材先でお話を伺っていたら、最初は自然光が外から入っていたのがだいぶ暗くなってしまったのと、まあせっかく遠路はるばる持ってきたんだから使っておくか、というのでライトスタンドにGodox V860IIIをくっつけて壁バウンスで使ったものなんですが、わざとらしいながらきちんとコントラストが付き、メインの被写体である井伊さんと背景の明暗差が生まれ、主従の関係がはっきりと見えるようになっています。遊びで日中シンクロしていた経験がモロに活きています。
もちろん現像段階でシャドーを持ち上げる処理はしていますが、ナショジオ的な発想で写真を撮るのであれば、こうやって意図的にコントラストを作るべきなんだろうなあ、と思いました。ちょっとかっこ良さの演出過多という気もしますが、これくらいやらないとむしろブログを見ている人には伝わらないかもしれません。
また今回はソフトボックスなんかを持ち込んでいないので井伊さんの顔の上でグラデーションの幅が狭いですが、もうちょっとディフューズしてやればわざとらしさは減ります。
まとめ
コントラストは現像時にいじる「コントラスト」パラメーターだけの問題ではなく、撮影時にその環境にどう明暗差が生まれているか? からスタートしている。
そのために別途人工光を持ち込み、コントラストを増減させて撮るのも有効。
コントラストが低い写真が日本では好まれやすいが、必ずしもそれがすべての場、対象に通じるわけではない。
てな感じでございまして、やっぱり実践でやってみると勉強になることがたくさんありますね。機会を与えて頂いたことに感謝です。