RAW現像:シャープネスの話

RX100のカメラ内現像JPG画像と、RAW現像時に自分で設定したシャープネス、どちらがよりシャープに見えるでしょうか? というのが今回のお題です。

シャープネスって難しいもので、単純に「シャープネス」の数値をアホみたいに上げればシャープに見えるようになるかというと、あんがいそうでもありません。ある一定のポイントを超えて過剰にシャープネスを加えてしまうと、ジャギーが発生したりノイズが発生したり。「うわっ、シャープネス上げ過ぎやん」という見苦しい見た目になります。

小型のボディーなのに画質が凄いぜRX100、が指すところの画質には写真のシャープさも含まれていますから、RX100ユーザーでRAW現像をするような方はいかにシャープな写真にするか腐心されている方もいらっしゃる事でしょう。というか、RX100はこのサイズのボディー、このサイズのセンサーにしては驚くほど先鋭な写真を撮る事ができますから、せっかくだから限界までシャープにしたいよねと思うのが人情ってもんです。

最終的にどこまでやるか、どのあたりで止めるかは個人の自由なのですが、まずはRX100本体内で自動的に現像する際のシャープネス設定と、LightroomにRAWを取り込んだ時点でどれくらいの違いがあるかを考えてみるのがヒントになるかな? と思いまして、近所の公園へ行ってちまちまと細かいものを撮影してみました。

EOS 5D+Tamron 28-75mm F2.8(A09)

EOS 5D+Tamron 28-75mm F2.8(A09)

こんな感じです。PLフィルターも使わずにこんなにこってりな色合いって凄いですよね。もちろんRX100そのものは別のカメラで撮っています。この写真を撮った直後に空を飛ぶ中学生の撮影に成功したりしました。

 

前提として

さて、前提として、カメラ内JPG現像というのは、RAWと違って大体の場合コントラストを上げ、シャープネスも上げています。そのほうがより鮮鋭なイメージになってお客さんに受けるからですね。

しかしPCでRAW現像をする場合、例えばLightroomが読み込み時点で自動的にちょっとシャープネスを上げてくれる以外は自分で設定して「これこれこのようにシャープにしてください」と指定する必要があるんですね。

その辺りの設定がけっこう難しいので、シャープネスが足りなかったり、はたまたやり過ぎでガビガビした写真になってしまったりします。また、元のRAWデータに写っていない、つまり解像していない部分については、いかにLightroomといえど復元はほぼ不可能です。レンズやセンサーの性能が足りなかったり、ピントがちゃんと合っていなかったり、ぶれていたりする場合ですね。

無理なもんは無理! という諦めも時には大事ですからね。相手が機械ですから、その辺りの見極めが大事です。
見極めはどうやってつけるかって? それはいろんなカメラでいろんな写真を丁寧に、大量に撮って、そのすべてを自分の目でじっくり見るしかありません。

 

まずはカメラ内現像のJPG

はい。カメラ内で現像してくれるJPGを見てみましょう。

JPG撮って出し

JPG撮って出し

中央部クロップ

中央部クロップ

下の写真、中央部クロップの方は完全にどまんなかを切り抜いた訳ではありません。シャープネスが分かりやすいように、細かいものが写っているところを切り抜いています。

どうでしょう? シャープネスに関してはJPGでも全く問題ありませんね。Facebookで最近お友達になった方から「JPGよりも良いシャープネス設定がLightroomで作れない」と相談を受けたんですけど、そうおっしゃる気持ちが分かります。カメラ内現像のチューニングが「SONYさん流石だわw」というくらい、RX100のレンズ、センサーでJPG撮って出しOKという用途なら一番バランスよくシャープに見えるであろう設定になっています。

ちょっと線が太いかなという印象はありますが、それって最近のトレンドですからね。
縮小した状態でJPG画像を見た時にも分かりやすく先鋭感を出すには、むやみにシャープネスを上げるより、線を太くするのが手っ取り早いですから。

 

RAW編

さあここからはRAWです。
RAW撮って出しの状態を見てみましょう。

RAW撮って出し

RAW撮って出し

RAW撮って出し中央部クロップ
RAW撮って出し中央部クロップ

カメラ内で加工をしているJPGと比較すると、明らかにもやーんとしていますよね。ただこれ、Lightroomに取り込んだ時点で最低限のシャープネスはすでに掛かってしまっています。

LightroomにRAW画像を読み込んだ時点で「ディテール」タブの「シャープ」設定を見てみると、最初から適用量が25、半径1.0、ディテール25のマスク0になっています。つまりシャープネスが25%、最初から掛けられた状態なんです。

これを嫌うのであれば、読み込んだ時点ではシャープネスをゼロに設定する事もできますが、別に困るもんじゃないので私は放置しています。

 

カメラ内現像JPGに似せてみた

それでは比較対象としてカメラ内現像したJPGがあるので、それに近いシャープ感を出すにはどれくらいの設定になるんだろう? というのをやってみました。

3-1.raw-similar to jpg

カメラ内現像のJPGに近づけたRAW現像

カメラ内現像のJPGに近づけたRAW現像・中央部クロップ

カメラ内現像のJPGに近づけたRAW現像・中央部クロップ

 

大体ですが、こんなもんじゃないでしょうか。シャープネス以外の部分についてはRX100本体とLightroom現像で処理の仕方が根本から違っていまして、そのあたりはどうしても差を埋める事ができませんが、シャープネスに限っていえばかなり近づいたんではないでしょうか。

Lightroomの設定でいうと、適用量60、半径1.3、ディテール10、マスク30という感じです。

冒頭に述べたカメラ内現像JPGの「線が太い」という話、これはシャープネスを掛ける半径の数値が大きいことを指しています。
この半径の数値が大きければ大きいほど、Lightroomはシャープネス掛ける時にそのピクセル分まとめて掛けている感じ、というのが一番分かりやすいかな。Photoshopでシャープネスを掛ける際も、半径については同じ挙動をします。

シャープネスの半径が大きいと(といっても、私の場合は半径を小さくするときで0.7、大きい時で1.3です)時はいくつかのピクセルずつゴロっとまとめてシャープネスを掛けるので、拡大して見ると荒々しい感じに見えますが、シャープでないレンズ、カメラで撮影した時や前述の通り写真の使用サイズが小さい時は、その方がわかりやすく「シャープだなぁ」という印象を植え付ける事ができるんですな。

逆に半径を小さくするとちまちまと小さいものにも丁寧にシャープネスを掛けてくれるので、これは通好みのセッティングと言えるかもしれません。ピクセル等倍で見た時に「うわーこんなに細かい!」って感動したい場合は、半径を小さくしないと「意外とごわごわじゃん」という印象につながってしまうんですね。自分以外の人間に見せる事を念頭に置いた写真の場合はモニターに写すかプリントするわけですが、そういった際も、出力サイズが大きいほど半径は小さい方がちまちま感、鮮鋭感が出るでしょう。

RX100のカメラ内現像JPGに似せてRAW現像をした結果、シャープネスの半径は0.7でも1.0でもなく、1.3でした。

 

じゃあ私ごのみに

じゃあ普段わたくしはRX100で撮った写真のRAW現像時にどうしているかというと、シャープネスは大体一律でプリセット掛けしています。そのセッティングは適用量50、半径0.7、ディテール25、マスク0です。細かめに、ちょっとだけ掛けておきますよ、という感じです。
今回の写真に関しては、よりパリパリ感を演出したかったので、もうちょっといじってみました。適用量70、半径1.0、ディテール25、マスク20です。こんな感じ。

わたし好みにしっかりRAW現像

わたし好みにしっかりRAW現像

4-2.raw-dev-detail

わたし好みにしっかりRAW現像・ディテール

前回までと違うのが、Lightroom特有のパラメーターである「マスク」ですね。
このマスク機能、要は別にシャープネスを掛けなくても良い平べったい部分に関しては無視して、ちりちりした部分にだけ掛けられるようにする、またその閾値を決める機能であります。今回は青空や建物の壁にはシャープネスを掛けてもノイズを増やすだけなので要らないよね、という事で多少しきい値を上げて、建物の正面側の格子や芝生にだけシャープネスが掛かるようにしています。

色やなんかもわかりやすく「RAW現像しましたよ!」という風にしてみたので、撮ったままで完成度が高いんだけどそれ以上手を加えられなかったJPGと比べると、なんといいますかより緻密な感じがすると思います。

 

まとめ

長くなりましたから無理やりまとめましょう。
LightroomでJPG撮って出しのJPGのシャープネスのかかり方と比較してみると、どうも線が太め(半径が大きめ)のシャープネスが掛かっておりましたと。
それを再現して同じように掛けるも良し、もっと繊細に(半径を小さくして)掛けるも良し。
ただ半径を問わず、シャープネスを上げたからって写っていない領域までチリチリと見えるようになるわけではないのでご用心。
また、シャープネスを上げれば上げるほどノイズも増えるから注意しましょう。

今回の作例、オリジナルの解像度でダウンロードできるようにしておきます。ここから。念のためですが、無断転載や商用での利用は禁止ですからね。PCへダウンロードしてピクセル等倍で見て「なるほどねぇ」って言う為のファイルです。別の用途での利用をご希望の際は、著作者の伴までご相談くださいね。

今回は比較で終わったようなもんですが、今度実際にLightroomでシャープネスを掛ける際のあれこれも記事にしようと思っています。

それではまた!

 

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です